「曖昧さの中に宿る、静かな強度」—— 植田紗々、COVER HAIR クリエイティブが描く“にじむ美”

霧が立ち込めるように、輪郭はやさしく溶け、存在だけが確かに残る。
『ihme issue3』で植田紗々が纏うのは、明確さを手放した先に現れる、新しいフェミニニティ。
ヘアメイクを手がけたのは、人気サロンCOVER HAIR(カバーヘア)のクリエイティブチーム。
代表の
谷本一典
がヘアメイクディレクションを務め、ヘアとメイクを“造形”ではなく“空気”として成立させた。
今号で提示されるのは、盛らない、語らない、それでも強く印象に残る美のかたちだ。

「存在がにじむ」ミニマル・ポエティック

白く開かれた余白の中に、淡いピンクトーンのスタイリングとともに浮かび上がる植田紗々のシルエット。
二重写しのような視覚効果は、被写体の動きと時間の揺らぎを感じさせ、“ここにいる”という事実だけを静かに主張する。

COVER HAIR クリエイティブが目指したのは、作り込まれた完成形ではなく、感情が通過した痕跡
強さと儚さ、リアルとフィクション、その境界線をあえて曖昧にすることで、見る者の感覚に委ねる余韻を生み出している。

【HAIR】静止と揺らぎのあいだにある、ボブの再解釈

ヘアは、顎ラインで揃えたミニマルなボブをベースに、あえてエッジを残さない設計。
毛先には過度な動きを与えず、空気を含んだ重さをキープすることで、フォルムそのものが感情を帯びる。

谷本一典によるディレクションのもと、COVER HAIR クリエイティブが重視したのは、
「スタイルを主張しないことが、最も雄弁になる瞬間」。

ツヤは抑制され、マットとサテンの中間の質感。
光を反射するのではなく、受け止めて滲ませることで、写真全体の世界観と美しく共鳴している。

【MAKE-UP】色ではなく“気配”をまとう、肌と目元

メイクアップは極限までノイズを削ぎ落とした、スキンコンシャスなアプローチ。
ベースは素肌の延長線上にあるような薄膜感で、血色を“足す”のではなく“透かす”設計だ。

目元はラインやコントラストを主張せず、まぶたの陰影そのものを生かす処方。
リップも輪郭を曖昧にぼかし、表情が動いたときにだけ存在を感じさせる

これは装飾のメイクではない。
被写体の内面が、ふと外に滲み出た瞬間をとらえるためのメイクだ。

トータルイメージ:語らずして、記憶に残る美

ヘアとメイク、ファッション、そして写真表現が一体となり完成したのは、
「強くないのに、忘れられない」ビジュアル。

COVER HAIR クリエイティブ、そして谷本一典が提示するのは、
トレンドやテクニックの先にある、“美の温度”そのものだ。

植田紗々の佇まいは、何かを演じるのではなく、ただ在る。
その静かな存在感こそが、今の時代に最もラグジュアリーな表現であることを、このビジュアルは雄弁に物語っている。