
ガーリーでありながら、どこかシニカル。甘さの中に潜む違和感こそが、このビジュアルの最大の魅力だ。
ihme issue3に登場した池田ショコラのヘアメイクを手がけたのは、人気サロンCOVER HAIR(カバーヘア)のクリエイティブチーム。
ヘアメイクディレクションは代表・谷本一典。単なる“可愛い”に回収されない、ファッションストーリーとして成立するヘアメイクが、ここにある。
甘美なファンタジーに、知性という影を落とす
ピンクを基調とした世界観、ぬいぐるみに囲まれたシーン、そしてモデルの無垢なまなざし。一見するとドリーミーでロマンティックなビジュアルだが、COVER HAIR Creativeが狙ったのは“甘さの飽和”ではない。
あえて計算されたラフさや、完璧に整えすぎない質感を差し込むことで、少女的ファンタジーに軽やかなアイロニーを与えている。
谷本一典のディレクションは、世界観を一段引いた視点で俯瞰し、「物語として成立するヘアメイク」を構築する点に真価がある。

【HAIR】甘さを崩す、計算されたルーズウェーブ
ヘアは中間〜毛先にかけて大胆に動きをつけた、エアリーなウェーブスタイル。
ポイントは、カールを均一にせず、あえて強弱をつけていること。これにより、ロリータ的な“作り込み感”を回避し、ファッションシュートとしての抜けを生んでいる。
前髪や顔まわりにはラフに落ちる毛束を残し、視線が一点に集中しすぎない設計。谷本一典のディレクションのもと、COVER HAIR Creativeは「かわいいの余白」を髪で表現している。
【MAKE-UP】ドールを意識しすぎない、現代的スウィートフェイス
メイクは全体のトーンを揃えつつ、要所で質感のコントラストを効かせている。
肌はマットに寄せすぎず、ほんのりとしたツヤを残したナチュラルスキン。チークとリップにはピンク系を用いながらも、発色は抑えめに設定し、幼くなりすぎるのを防いでいる。
目元はラインやラメで主張しすぎず、あくまで“表情の透明感”を主役に。ヘアと同様、作り込みと引き算のバランス感覚が、COVER HAIRらしい洗練を感じさせる。
トータルイメージ:ヘアメイクが語る、もうひとつのストーリー
このルックが印象的なのは、ヘアメイクが衣装や小道具の世界観に寄り添うだけでなく、そこに“解釈”を加えている点だ。
谷本一典率いるCOVER HAIR Creativeは、モデルを単なる被写体として扱わず、ひとつの物語を背負う存在として成立させている。
甘く、儚く、そして少しだけ大人びた違和感。そのすべてが計算されたヘアメイクによって結晶化し、ihme issue3の世界観を強く印象づける一枚となった。