光と影、ピンクとブラック。無垢な透明感に宿る“モード・ドール”

人気サロン「COVER HAIR」のクリエイティブチーム、COVER HAIR CREATIVEがヘアメイクを担当。代表・谷本一典がヘアメイクディレクションを手がけた、ihme issue12「TIME」の菅田 愛貴。

まっすぐに落ちる漆黒のロングヘアと、透けるような肌。その間に差し込まれるのは、淡いピンクのアイメイクと艶めくローズリップ。さらに、顔を横切る手のポーズと壁に落ちたブルーの影が、静かなビューティーにアートの緊張感を添えている。

黒髪の強さをあえて引き算し、ピンクの血色と肌の透明感で柔らかくほどく――。COVER HAIR CREATIVEならではの繊細な質感設計によって、愛らしさだけでは終わらない、現代的な“ドール・ビューティー”へと昇華している。

ブラック×ピンクで描く、静かなドール・ビューティー

まず目を奪われるのは、漆黒のロングヘアと、柔らかなピンクの顔色のコントラスト。

髪はほぼストレートのまま、余計な動きを加えず、長さと艶そのものをデザインとして見せている。一方で、メイクはピンクを中心に柔らかく仕上げることで、ブラックの強さを中和。結果として、クールになりすぎず、甘くなりすぎない絶妙なバランスが生まれている。

特に印象的なのが、片手で目元を覆うポージング。指の隙間から覗く視線によって、顔のすべてを見せるのではなく、「見せる/隠す」の余白が生まれている。

さらに背景のブルーと影が、黒髪やピンクの肌色をより鮮明に浮かび上がらせる。写真全体としては、少女的なピュアネスをベースにしながら、どこか非現実的なファッションシューティングのムードを漂わせている。

【HAIR】:艶めく黒髪を“面”で見せる、ストレート・ロング

今回のヘアの最大のポイントは、動きを足すのではなく、髪そのものの質感を最大限に引き出していること。

センターに近い位置から自然に分かれた前髪は、目の上ギリギリまで長さを残し、細い毛束を均一に落とすことで、瞳の存在感を際立たせている。

サイドからバックにかけては、ほぼストレート。毛先だけにわずかなニュアンスを残しながら、ロングのラインをきれいにキープしている。

ここで重要なのが、“黒”を重く見せない艶感。

光が当たった部分にはブルーやブラウンを感じさせる繊細な反射が生まれ、真っ黒な髪の中に立体感が浮かび上がる。カールやウェーブで華やかさを足すのではなく、髪の面の美しさで魅せることで、ミニマルなのに強い存在感をつくっている。

また、前髪の細かな毛束が額や眉上に落ちることで、重厚なロングヘアに軽やかな“抜け”をプラス。黒髪のストイックさと、少女のような繊細さが同居する仕上がりだ。

黒髪は、ツヤを生かしてストイックに見せることで現代的な印象をつくりやすく、前髪や顔まわりの毛束によって表情を変えられるのも魅力。

そして今回のヘアでは、首元に重ねられた大量のパールネックレスとの対比も重要。黒髪の艶とパールの光沢という、異なる“光る素材”を隣り合わせることで、ヘアそのものがジュエリーのように見えてくる。

【MAKE-UP】:ピンクの血色と透明感でつくる、センシュアルなピュアフェイス

メイクは、黒髪の存在感を受け止めながら、顔には柔らかな血色を与える設計。

ベースは厚みを感じさせず、なめらかで透明感のある肌に。頬には淡いピンクを感じさせる血色が入り、肌そのものが内側からほんのり色づいているように見える。

黒髪の場合、肌をマットに固めすぎると全体が重く見えやすいため、透明感や血色を残すことが重要。美的でも黒髪に合わせた透明感メイクでは、肌の質感とピンクの血色を組み合わせるアプローチが紹介されている。

目元は今回のルックのキーポイント。

上下まぶたに淡いピンク〜ローズ系のニュアンスを忍ばせ、目尻側にほんのり深みを加えることで、可愛いだけではない奥行きを演出している。黒いラインを強く引いて目力を押し出すのではなく、ピンクの色と光で瞳を際立たせるのがポイント。

そこに、艶のあるローズピンクのリップ。

唇は輪郭を強く主張させるというより、中央にみずみずしい光を感じさせることで、“色”よりも“質感”を印象に残す仕上がりになっている。

今回のメイクは「黒髪=クール」「ピンク=ガーリー」という単純な二分法ではなく、その間にあるセンシュアルな美しさを狙っている。

“可愛い”を一歩越えた、ピンクとブラックのモード・ドール

このルックの魅力は、黒髪・ピンク・パール・白という、一見するとフェミニンな要素を、極めてミニマルに構成していること。

黒髪はストレートで潔く。
肌は透明感を残して軽く。
目元には淡いピンク。
唇にはみずみずしい艶。
そして胸元には、大胆なパール。

そこへ、目元を覆う手のポーズとブルーの影が加わることで、単なる“可愛い女の子”のビューティーカットではなく、時間の一瞬を切り取ったような幻想性が生まれている。

特に秀逸なのは、ヘアとメイクのバランス。髪を華やかに動かさないからこそ、肌の透明感とピンクの血色が際立つ。逆にメイクを甘くしすぎないからこそ、漆黒のロングヘアが持つモード感が生きてくる。

COVER HAIR CREATIVE、そして代表・谷本一典によるヘアメイクディレクションが生み出したのは、トレンドをそのまま取り入れるのではなく、モデルの持つピュアな魅力を残しながら、質感・光・色のコントラストでファッション性を引き上げるビューティー。

「TIME」というテーマの中で、この一枚が見せるのは、少女とモードの境界にある一瞬。

ピュアなのに少しミステリアス。甘いのに凛としている。
黒髪の静けさと、ピンクの血色。その二つが交差することで、菅田 愛貴の新しい美しさが浮かび上がる。